ミネラルウォーターの基準
ヨーロッパでは、古くからミネラルウォーターを飲料水としてのみならず、薬用に飲む習
慣があり、ミネラルウォーターに対する基準、安全規範等が厳しく定められています。
日本では、
ミネラルウォーターとは、水のみを原料とする清涼飲料水を言い、食品衛生法で個別の規格基準(成
分規格(試験方法を含む)、製造基準、保存基準)が定められています。
ミネラルウォーター類(容器入り飲用水)品質表示ガイドライン
ミネラルウォーター類に関する定義や分類は、国によって異なります。
日本では、ミネラルウォーターを含む清涼飲料水の表示は食品衛生法、JAS法等により義務づけられ
ていますが、この他に任意表示として農林水産省の通達による「ミネラルウォーター類の品質表示
ガイドライン」があります。
分類 | 品名 | 原水 | 処理方法 |
ナチュラルウォーター | ナチュラルウォーター | 特定水源より採取された 地下水 | ろ過、沈殿および加熱殺菌以外の物 理的・化学的処理を行わないもの |
ナチュラルミネラルウォーター | 特定水源より採取された地下水のうち、地下で滞留または移動中に無機塩類が溶解したもの(鉱水、鉱泉水など) | ||
ミネラルウォーター | ミネラルウォーター | ろ過、沈殿および加熱殺菌以外に別記の処理を行ったもの、複数の原水の混合、ミネラル分の調整、オゾン殺菌、紫外線殺菌などを行ったもの | |
ボトルドウォーター | ボトルドウォーターまたは飲用水 | 純水、蒸留水、河川の表流水、水道水など | 処理方法の限定なし |
ヨーロッパのミネラルウォーター基準
他方、古くからミネラルウォーターを飲料水としてのみならず、薬用に飲む習慣があったヨーロッパでは、その規格はより厳格で、日本とは異なります。
表:ヨーロッパのミネラルウォーター基準ナチュラルミネラルウォーター | ・殺菌やミネラル分の添加・調製など,あらゆる人為的加工をしていない。 ・公的機関の審査と承認を必要とする。 ・人体に健康に有益なミネラル分を一定量保持する。 ・水質の汚染を防ぐため、採水地周辺の環境保全が常に行われている。 など |
スプリングウォーター | ・一箇所の地下の水源から直接採水され、添加物を加えることなくボトリングされる。 |
プロセスドウォーター | ・熱処理や濾過、ミネラルの添加など人為的な加工をした水。 |
国により異なるミネラルウォーターの基準
ヨーロッパでミネラルウォーターといえば、ナチュラルミネラルウォーターのことと解釈します。しかし、日本でミネラルウォーターと呼ばれているもののほとんどは、プロセスドウォーターに該当します。
また、「スプリングウォーター(Spring water)」または「Eau de source(オードソース)」と 呼ばれるものは、日本語で「ナチュラルミネラルウォーター」などと訳されているケースが見られま すが、ヨーロッパではスプリングウォーターとナチュラルミネラルウォーターとは明確に区別されて います。
このように、ミネラルウォーターに対する考え方は、気候、地形などの自然条件や歴史、文化の違 いと密接に関連し、国や地域によって異なります。